理事長
青木 晃隆
「福祉を問う」
 福祉は宗教より始まり、医学に転機を迎え新しい福祉としての看護学が興る。神がかり的なものから経験的な実学、手の施し様もない患者の見守り(看護)、療(たすけ)る道を求める研究、先哲先人は命の限りを尽くして、人の命の尊さを、生きる事の尊さを、探求して来た。
 佛教では「生命」は宇宙の極りない縁起の集結であると説く、創られたものでもなく、他は縁って造られたものでもない。宇宙の自然の一過程であり、必然の所産である。「私が宇宙であり、宇宙が私である。私があってこその宇宙万物であり、宇宙は私に凝縮される。」
 アインシュタインはある夕刻、知人の学者に云ったと伝えられる。「私が月を見ていない時にも月は存在するだろうか?」と、佛教哲学では、「私が全ての存在を存在たらしめ、私が無くなれば存在は存在でなくなる。」と、福祉とは存在を最も価値を高め尊ぶこと以外には何ものでもない。
 福祉は幸福そのもの。