脳卒中は、ガン・心臓病とともに日本人の3大疾患の一つです。
 予防や治療が進歩したため、脳卒中で亡くなる人は年々減っていますが、脳卒中自体が減ったわけではありません。
  脳卒中は、原因によって大きく2つに分けられます。1つは脳の血管が破れて出血する「脳出血」。出血が起きた場所によって、さらに「脳内出血」と「クモ膜下出血」とに分けられます。もう1つは「脳梗塞」です。これは血管が詰まってしまうもので、細くなった脳動脈でできた血の固まり(血栓)が血流をせき止めてしまう「脳血栓」と、主に心臓でできた血栓が流れてきて脳動脈を詰まらせる「脳塞栓」とがあります。
 脳には全血液の約15%が流れ込み、脳内にある千数百億ともいわれる神経細胞に酸素と栄養分を供給しています。そのため、脳の血流が5秒中断すると意識障害などが起こり、数分間以上続くと神経細胞が壊れて、死の危険にさらされるのです。
 一命をとりとめても障害を受けた脳の場所によって様々な後遺症が残ります。脳卒中には高血圧が深く関わっているため、日頃から食生活などを改善して動脈硬化の進行を最小限にくい止める事も大切です。
 万一、脳卒中の発作が起きたら、気道確保の姿勢をとらせて衣服をゆるめ、病院に連絡するか救急車を呼んでください。早い処置が治療の可能性を広げ、後遺症の軽減につながります。

  脳出血=脳の血管が破れる。
脳内出血 原因
症状
加齢、高血圧、栄養不足など。
一般に気分が悪くなり、頭痛や吐き気、めまいなどが起こる。数時間以内にろれつが回らない、片側の手足や顔面が麻痺する等の症状が現れる。
クモ膜下
出血
原因
症状
動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病など。
バッドで殴られたような激しい頭痛におそわれ、同時に吐き気、痙攣、意識障害などが起こる。
  脳梗塞(脳軟化症)=脳の血管が詰まる。
脳血栓 原因
症状
高血圧、糖尿病、高脂血症、脳動脈硬化、経口避妊薬の常用など。
手足の軽い麻痺、ろれつが回らない等の症状が出やすく、次第に悪化する。睡眠中や血圧が低くなり血流が悪くなった時に起こることが多い。
脳塞栓 原因
症状
心臓弁膜症、心筋梗塞、心房細動など。
発作は突然起こり、症状は急激に進む。


 「嚥下障害」とは、疾病や老化などの原因によって食べ物をうまく飲み込めなくなる障害のことです。主な原因としては、脳卒中の後遺症や痴呆、口腔・咽頭・食道などの嚥下筋の筋力低下、歯牙の喪失等による咀嚼力の低下などがあげられます。嚥下障害があり、のどに食べ物が残った状態で次から次へと食べると窒息する危険があります。さらに、食べ物が気管支の方へ入って誤嚥(ごえん)や肺炎を引き起こすこともあるので、注意が必要です。
 誤嚥の典型的な症状は、むせて咳をすることですが、むせないのに誤嚥している場合もあります。食事中や食後に集中して咳をする、がらがら声になったり呼吸音が荒くなったりする、食事をすると疲れる、食べ始めるとすぐに食欲がなくなる、これらも気を付けたい誤嚥の兆候です。また、最近ボーッとしている、元気がない、体重が減ってきたといった症状が、実は誤嚥が原因の肺炎だったということも。

 嚥下障害のある高齢者におすすめしたいのはゼラチンです。ゼラチンで固めた料理には30度で表面がとける、つまり体温でとけるという特徴があります。さらに、噛まなくても舌で押しつぶすことができて、バラバラになりにくく、のどや口腔内で動くときに変形しやすいため、滑るように飲み込むことができるのです。
また、水やお茶、汁ものにもゼラチンが大活躍します。ゼラチンを使うと、むせたり咳こんだりせずに上手に水分をとれるはず。お茶や栄養補給飲料をゼリー状に固めたものなどを、上手に利用したいものです。
 少し飲み込む力がある人の場合は、市販されている増粘剤(素材はでんぷん)など
を使ってとろみを付けて食べやすくするという方法もあります。
 食べる時の姿勢は、仰向けで上体を30度起こし、首を前に曲げるようにします。麻痺がある場合は、麻痺側の肩に枕をあてがうといいでしょう。介助者は麻痺のない側に立つと、注意を食事に集中させることができます。ひと口量は多すぎないように、ゴクンと飲み込んだことを確認して、次のひと口を運ぶようにします。
 ただし、時間をかけ過ぎると疲れて誤嚥しやすくなるので、準備時間も入れて45分くらいまでを目安としてください。


 クリームコロッケは、やさしい味と口の中でのまとまりやすさが介護食向きと言えますが、ホワイトソースなど手間がかかるのが欠点です。また、ダマが出来ないように滑らかに仕上げるのにもコツがいります。しかし、柔らかくした野菜を炒めておいてから小麦粉をまぶして作ると、まず失敗はありません。この時、小麦粉を弱火で野菜にからめるように炒めると、粉臭くなりません。
 カボチャ、アスパラガス、グリンピース等の野菜でも同様に作ることができますが、少しでもアクの有るものは茹でて使いましょう。動物性の素材はバターだけなので、野菜の風味が生きたコロッケになります。カロリー制限のある人はバターを半分にし、パン粉を付けてから少量のサラダオイルを振りかけてオーブントースターで焼いても良く、飲み込みが下手な人の分は衣を付けずに、野菜のクリーム和えにして下さい。
玉葱 1/2個 ●パン粉 適量
人参 250g 揚げ油 適量
バター 大さじ4 サラダ菜 1株
小麦粉 大さじ5 レモン 1個
小さじ1/2
コショウ 少々
牛乳 300cc
小麦粉 適量
1個
1.小さめの玉葱はみじん切り、人参も皮をむき、ごく薄い半月に切
  って電子レンジに4〜5分かけておく。
2.フライパンにバター大さじ1を溶かし、玉葱と人参を焦がさない
  ように気を付けながらよく炒める。
3.炒めた人参に残りのバターを加え、小麦粉をふり入れて焦がさな
  いように炒め、火を止めてから牛乳を注ぎ入れる。よく混ぜてか
  ら再び弱火で6〜7分間煮詰め、塩、コショウで味付けする。
4.バットに移し、底を氷水で冷ましてから冷蔵庫で完全に冷ます。
5.12等分して俵型にまとめ、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に付け
  て180℃に熱した油で色よく揚げる。
6.サラダ菜とレモンを添えて盛り付ける。  


山際 千津枝
料理研究家・栄養士。 
山際生活デザイン研究所主宰。
食品関連会社顧問、メニュー開発、執筆、講演、公的機関の委員、
テレビ・ラジオ番組のコメンテーターとしても活躍中。
生活感に溢れる話題とユーモアやウイットに富んだ話し方には定
評がある。